2008-11-22の読みさし

食料の世界地図:100%

読了。

聞きたい知りたい「性的マイノリティ」―つながりあえる社会のために:100%

読了。

第4章「性的マイノリティを取材して」はざっと流し読んだ。彼等の言う「靖国派」への批判が強すぎ、内容的には他の章から得るほどのものがなさそうだった。

マイノリティの問題は、ほとんどが同じ構造を持っているように感じる。たぶん、後で述べる。それに関連するけれど、「マイノリティの権利獲得運動の受け皿として共産党しかないような状態」、もしくはそういう状態にあるかのように書くことはどうかと思う。まあ、政党政治の中で政党が主張することとしては間違っていないのかもしれないけれど。

あ、あと、「性的マイノリティがわりとメジャーであること」、すなわち「LGBT の人がわりと普通にたくさんいること」の科学的な裏づけを見つけて妙に納得した。「性的マイノリティがわりとメジャーであること」は経験的にはわかっていたが、その科学的な根拠を得て得心したのだが、これはちょうど、「親と子は似ている」ということが経験的にわかっていた上で、科学的な根拠としてゲノムの存在を知ったのと同じ。
で、その科学的な裏づけ、というのは、性染色体によって遺伝子レベルの性が決まった後も、性ホルモンの分泌がなんらかの原因で異常に分泌された場合には身体的な性が遺伝子レベルの性と違ってしまうこともある、ということ。さらに「(第二次性徴期を中心とした)適切な時期に分泌される適切な量の性ホルモン」のバランスが崩れると、さまざまなタイプの性徴が身体的、精神的に発生することもあるだろう。性的グラデーションの不幸は、他のグラデーションと違って、性が原理的に(生命の歴史の中で有性生殖が発明されたときから)二値だ、ということか。性自認性的志向も、有性生殖をより有効に使うために進化したのだろうから、そしてそれはホルモンという化学物質が受精卵内で、あるいは分裂した細胞内でどのような濃度で分布しているか、ということで決定されるのだろう。
と、考えた説を(いつも私の論説を聞かされてかわいそうな)つれあいに力説したところ、「何らかの原因でホルモンの分泌バランスが崩れるなんてそうそうないんじゃない?」と突っ込まれた。が、「何らかの原因で、受精卵が一回目の細胞分裂で、物理的に二つに分かれてそれぞれが一つの受精卵のように成長してしまう」ことはしばしば起こっている。その「何らかの原因で、元々一つだった受精卵が二つになってしまった」という、ホルモンの分泌異常どころでない一大事の結果を、われわれは「そっくりな双子ちゃん(一卵性双生児)」と呼ぶのだ。
ということは、一卵性双生児と同じかそれより多い頻度で LGBT が産まれて然るべき、ということだろう。さて、一卵性双生児の人と一切関わらずに大人になった人は何人いるのだろう。

発達障害のある子どものきょうだいたち―大人へのステップと支援:90%

資料編の「紙上セルフヘルプ」を残すのみ。

この本で書かれていることは、この本で定義するところの「きょうだい」、すなわち「発達障害のある子どもと親が同じ人」向けに書かれているのだが、ほとんどが「何らかの問題を抱えている人が家にいる人」すなわち、ほとんどすべての人に共通することだと思った。この本の内容は、「きょうだい」の意味を「全盲の妹がいる人」だと仮定しても、「酒乱のお父さんがいる人」だと仮定しても、「認知症のおばあちゃんがいる人」だと仮定しても、「ニートの弟がいる人」だと仮定しても、「MTF の姉(兄)がいる人」と仮定しても、「居候がいる人」と仮定しても、ほとんどが通用する。

あと、家族の機能不全については、長々と(いつも私の論説を聞かされてかわいそうな)つれあいに力説したところ、「なんか言ってることが難しくてよくわからないけど、核家族であるってことだけで、もう半分機能不全だってこと?」と看破された。いや、まさにそうなのだ。バングラデシュでジョイントファミリーという家族形態を直接見ながら生活してきたつれあいは、「子どもの逃げ場が少ない」という核家族自体の歪みをわかっている。

書き足りないな。また後日書こう。

そうそう、これだけは書いておこう。発達障害のある子どもがいる家庭において両親の言い争いが絶えないとしたら、それは「発達障害のある子どもが産まれたから負負の言い争いが絶えない夫婦」になったのではない。そのような夫婦は、子どもが発達障害を持たずに産まれても、あるいは子どもが産まれなくても、早晩別の問題をきっかけにして言い争いが絶えない夫婦になるだろう。他の「家族の機能不全」も同じだと思う。