2009-08-17の読みさし

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書):100%

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

オニババ化する女たち 女性の身体性を取り戻す (光文社新書)

読了。

内容は興味深く、納得させられるところが多いのだが、文章の流れが淡い気がした。遠慮がちというのか、勢いが感じられないというのか。奔流とまではいかなくても、もっと文章の流れがあっていいように思った。うーむ。自分の語彙の少なさ、表現の乏しさを露呈するような感想だな。

現在の性教育の目的のひとつとして、「初交年齢を上げること」が掲げられているという。筆者はそれにたいしていかがなものか、と問題提起している。なるほど。私も「初交年齢を上げること」はなんとなく望ましいように思ってきて (しまって) いた。筆者が言うように、今は中絶に向かってしまっている若年妊娠、それを支援する方向、産み育てることを支援する方向に向かった方が、いいように思えてきた。当事者や家蔵にとっていいことであると同時に社会にもいいように思えてきた。その方が健康的な社会と言えよう。高校生が妊娠したら問題になるような社会や家族こそが問題なのかもしれない。つまり、子育て後に (復学も含めて) 社会復帰できる社会基盤が整備され、なおかつ、産まれてくる命を家族の宝として受け止めるような家族親族が存在すれば、妊娠は喜ばしいことと捉えられこそすれ、忌むべきものと捉えられることはないだろう。というより、人間の生物的な歴史、社会的な歴史を考えたら、十六七という年齢が初産の年齢としては普通だった時代の方が長く、今のようにその年齢で子どもを持つことが忌避される時代の方が特殊なのだろう。昔に戻れ、ということではなく、生理学的にも、社会学的にも、若いうちに産んだほうがメリットが大きい (個人としても、家族としても、社会としても) のではなかろうか、ということである。そのためには、先に述べたような社会的条件がクリアされなければならない。そういう政策をとるのがいいのではなかろうか。子どもは社会にとってもその存続を確固たるものにする宝だし。オニババも減るしね。

あえて少子化の問題には絡めないでみた。少子化は対処した方がいいものなのか、放置しておけばいいものなのか、あるいは促進すべきものなのか、判断をつけかねているから。

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち:85%

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

読んでいて辛い。何がって、自由な思考をしてきたつもりの自分が、この本で問題として取り上げられている「時代の考え方」にすっかり染まっていることに気づかされることが、である。内田さんの文章は流れがあって、わかりやすくて、とてもよみやすい。難しいことも非常にわかりやすく書かれている。そういう刃物で刺されると痛いというより辛い、苦しい。でも読まずにいられない。社会の中で生きていく一個の人間として、また、これから子どもを育てていく親として。