議論と感情について考察してみる修行

まだまだ粗い考察であるが、公開。

この考察の結論

議論のしかた

http://iwatam-server.dyndns.org/software/giron/giron/index.htmlという文章がある*1。どんな方が書いたかは存じ上げないが、非常によくできた文章だと思っている。GNU FDL らしいので、私のとるべき正しい態度はリンクをここに置くだけでなく、文書をまるまるコピーして自分の持つサイトも置くことだろう。
それはさておき、最近、社内にこの文書を紹介した。こういうスタンスでおおいに議論しようではないか、と。しかし、反応は必ずしもかんばしいものではなかった。論理性を追求するあまり危険な感じがする、ということのようだ。特に感情論の辺り。
自分自身では 2 年前に読んだままで、紹介するときに再度読み込んだわけではない。ざっくり読んだところでは、http://iwatam-server.dyndns.org/software/giron/giron/index.html掲示板やメーリングリストなどネット上での議論をメインのターゲットとしている、ということが関連していそうだが、必ずしもそれだけが原因ではないような感じも持っていた。ということで、もう一度読んでみて、自分なりに考察してみようと思った。

議論と感情

そして現時点での私なりの考察はこうなった。にわかファシリテータ志向者であるぶん、そっち方向にバイアスがかかっているのを承知の上で読んでいただきたい。

n 番目の議論の種類 (n > 3) =ミーティング

なんらかの目標を達成するために組織されたグループでは、その目標に向かってグループの成員が協調作業する。議論も大切な要素である。そして、そこで行われる議論、仮にミーティングと名付けよう、は、http://iwatam-server.dyndns.org/software/giron/giron/x20.htmlで分類されている三つの議論の種類「討論」「議決」「対話」のいずれにも含まれないように思われる。
まず、ミーティングは討論や議決とは異なる。なぜなら、単純にある事項に対する賛成反対、勝ち負けを決めるために行うものではないからである*2。ミーティングと対話は多くの部分が共通する。が、次のところが違う。

  • 『対話の目的は同じテーマで話し合ってお互いに理解を深めること』だが、ミーティングの目的はそのグループの目標を達成する手段として話し合うことである。
    • 換言すると、対話はテーマありきで、ミーティングは目標ありきである。
  • 対話は『結論を出すのが目的ではない』だが、ミーティングはグループの成員がそれぞれの自由意志でコミットできる結論を出すのが目的である(「ファシリテーター完全教本」の受け売りで、正直、完全に消化し切れていない)。
  • 対話は自由に参加、退場できるが、ミーティングは退場することはできない。
    • 換言すると、対話はテーマありき(メンバーは固定されない)で、ミーティングはメンバーありき(テーマは固定されない)である。
ミーティングにおける感情

http://iwatam-server.dyndns.org/software/giron/giron/x653.htmlでは、感情論を扱っている。著者の立場は感情を問題とはしていない。『感情があるのが目的ではなく、論理性がないのが問題』と述べている。ミーティングでも同様である。
ただ異なる点もある。他者の言い方に対して感情を害して感情的な発言をする人は『議論の場から退場処分に』することを勧めている。これはテーマありきである対話の場では有効であろう。しかし、ミーティングはメンバーありきであり、退場させることはできない。してもいいがグループ全体のパフォーマンスを低下させることは必至である。

では、ミーティングにおいては感情をどのように扱えばいいのか。一つの方法は、自分の感じている感情を態度ではなく、言葉で表現することである。そしてその理由を述べることである。たとえば、「今の○○さんの××という発言を聞いて、私は憤りを覚えました。なぜなら、〜だからです」と言う。メンバーの誰かが気分を害しているようだったら、その人が気分を害しているかどうか、もしそうなら何が原因で気分を害したのか、を確認する(ことがこともなげにできたら苦労しない…)。
http://iwatam-server.dyndns.org/software/giron/giron/x653.htmlの感情論のまとめにも次の記述がある。『感情ほど不確かなものはありません。超能力者でない限り自分の感情をそのまま相手に伝えることはできませんし、相手の感情を知ることもできません。』論理展開のじゃまになるあやふやな感情を持ち出さず、できるだけ言葉だけを考えるようにすべきだ、と主張している。これはテーマがもっとも重要である議論では有効かもしれない。しかし、グループミーティングではテーマよりもメンバーが重要であり、そのためには感情も積極的に扱っていく必要がある。

結論

本当はグループミーティングで感情を積極的に扱うべき考察も述べたかったが、そこまでは至らなかった。

*1:この文書からの引用を『』で表すものとする。

*2:問題を解決するものではない、というところまで踏み込みたいが、考察不足でそこまでは言えない