思考停止という言葉による思考停止

はたから見て、ある人が当然考えるべきと思うことを考えていないことを「思考停止だ」と批判することがよくある。

ある主体Aの言動を観察していた主体Bが、主体Aの言動がおかしいと感じる。主体Aが起こす行動はある結果を生むのがあきらかなのに、それを考慮していない、と感じたり、主体Aに行動の目的を問うたら、ちょっと考えればわかるような矛盾が返された、と感じたとき、主体Bが主体Aに対して「それは思考停止だ」と批判することになる。

このとき、主体Bが行っていることも、「思考停止だと判定することで、他の可能性を捨てた」という意味で一種の思考停止になっていることが多い。また、そのことを自覚していることは少ないと思われる。
そのうち、思考停止自体は、低い知性の現れではなく*1、思考上の優先度付けルールが主体間で異なっていることの現れに過ぎないことを述べてみたいと思う。

*1:あえていうならば高い知性の現れ