ずいきを食らう

土曜日の話の続き。ずいき編。

「生だと『ずいき』、乾燥させたものは『いもがら』」という説明をいくつかの場所で見たので、ここでもそれに習う*1。と、いもがらはよく食べるが、ずいきは食べたことがない。今回、ゆうファームの農体験でずいきを入手し、食べる機会に恵まれた。

皮ごと生で

まずは思い切って生で、皮もそのままに食べてみた。しゃきしゃきとした食感。特にエグ味もなく、さわやかな初秋の山芋の茎のような味である。皮に香気があるらしく、皮ごと食べるとセロリに似ている。

細切りをサラダで

皮をむいて細切りにしたものを、りんご酢と(しばらく乾燥トマトをつけておいた)オリーブオイルと少々の塩をまぶしてサラダにしてみた。こちらは食感だけかな。他の野菜も混ぜたサラダを作ったときにしのばせると食感が面白いかもしれない。

軽く茹でて水につけた

酢であく抜きする方法もあるようだが、それほどクセが強いとは思えなかったので、2, 3 分茹で、あとは水にさらして保管。

味噌汁の具に

水にさらしてあったものを味噌汁の具に。ふかふかしゃくしゃくな食感。かすかにずいきの風味。悪くはない。

しょうゆで煮る

水にさらしてあったものを軽くしぼったあと、しょうゆで煮てみた。味付けはしょうゆだけ。だしもなく。薄味に。
できあがりは、フキの煮物と同じような食感と風味。塩が入ったことで香気が復活したか。それとも水にさらしたから? 繊細な香りを楽しむために薄味でしょうゆだけで煮たのは正解だったろう。切り方は、繊維に沿った細切りよりも、繊維を断つ輪切りの方が味を含んでおいしいようだ。これは好みが分かれるかもしれない。
なお、煮物としての総合的なおいしさでいくと、残念ながらいもがらには勝てない。季節を感じる味としてはよいと思う。

考察

見るからにサトイモ科のずいきが、セロリ(セリ科)やフキ(キク科)と似ているのはなぜだろう。

食感と香りを堪能し、「ああ、今年もずいきの季節だな」と季節感を楽しむために、薄味で煮たものを食べるのがいちばんいいように思う。こういう旬のものは年に一回、二回食べればそれで幸せな気がする。残りは天日で乾燥させていもがらに。何でも生をありがたがる傾向が世の中にはあるような気がするけれど、お天道様や微生物さんたちが時間をかけて作るうまさにまさるうまさはないのではないかと思う次第。

*1:「おはぎ」と「ぼたもち」の違いのように、文化的要素が大きいと思うのでここでは深入りしない。