シロアリの体内に棲んでいるやつらに作ってもらう飯

人造魚卵と同じような技術で、見た目も食感も飯粒(米粒じゃない。最初からもう「炊けた」状態)ができたとしよう。食味やら保存性やらの細かいところをひとまずおいておけば、それ自体はあまり大変じゃないだろう。最初は「米粉」だの「米ぬか」だの「脱脂大豆」だの「馬鈴薯デンプン」から飯粒本体ができていたとして、まあ、カレーかけちゃえばあんまり変わんないよね、というレベルであれば、そして本物のコメよりだいぶ安ければ、まずは外食産業に導入されるよね。とにかく安く飯が食えることを望んでいる消費者が多いからね。
で、乾燥状態のとこに熱湯をかけて 3 分待つだけで、ふっくら炊き立ての飯になる、そんな飯粒もきっとできるだろう。流通コストも貯蓄コストも下がるね。もちもち感、香り、なんてのは食品添加物の得意分野だね。「コシヒカリ風味」とか「古代赤米風」とかも簡単だね。本物の飯粒と人造飯粒が、ビールと第3のビールぐらいの違いしかなくなったら、「賢い」主婦は普段は人造で、お客様に出すときは本物で、みたいに使い分けますわな。

さて、シロアリの体内に棲んでいるやつら、もしくは、そいつらの使っている酵素を使ってセルロースを安価に大量に分解する技術ができたとしよう。この技術の牽引役はバイオ燃料の開発で、経済的にも現在集中的に資源が投資されているところ。まあ、それで国土の広い国では、デンプン系よりもよっぽど単位辺り面積の収穫量が多い植物を植えるだろうね。

でだ、食を消費カロリーとか栄養素とか体重とか、そういう合理的な視点でだけ見る「賢い」消費者は、セルロース由来の糖が主成分の人造飯粒が出てきても、拒否しないだろう。だって、カロリーは普通のおコメより少ないし、食物繊維もコラーゲンも鉄分もあれもこれも、人造飯粒には入れることができるからね。サプリメントを選ぶ気分で、「今日はどの機能米にしよっかなー」とか選んだりとか。値段もどんどん下がるね。

さて、食料自給率が下がっているとか言っても、日本人は、まだ主食はコメだ。結構食っている。生活文化的なとこが大きいか。日本のコメ産業がやばいやばい、といわれ続け、どんどんやばさが増しているにも関わらず、まだなんとか存続しているのは、結構食ってるからだ。でも、上に書いたような人造飯粒ができたらどうなるんだろう。

田んぼは全部牧草地だね。飼料用の牧草はもちろん、主食用のセルロースも取れるしね。